ユニバーサルデザインとその界隈のキーワードをまとめてみた

始めはユニバーサルデザインについて書こうと思ったのですが、Googleで「ユニバーサルデザイン」を検索するといろいろな関連語が出てきまして。その中に幾つか混同しやすいものがあったので、まずは自分の頭の整理がてらそれらの言葉(「ユニバーサルデザイン」「ノーマライゼーション」「バリアフリー」「アクセシビリティ」「ユーザビリティ」)についてまとめてみようと思います。

ユニバーサルデザインノーマライゼーション

この二つは「全ての人にとって等しく利用可能な状態を目指す」という考え方であり、意味としては似ています。が、言葉自体の生まれの違いからその対象が異なっています。

ユニバーサルデザインはデザイン用語であり、その対象は「施設・製品・情報等」です。対してノーマライゼーション社会福祉用語であり、対象は人を囲む環境全てです。ノーマライゼーションは考え方というよりも思想や理念に近いです。

アプリケーションやWebサービスを開発する場合や製品開発を行う場合は、ノーマライゼーションという表現は意味が大きすぎるので、ユニバーサルデザインという表現のほうがよりマッチします。

ユニバーサルデザインバリアフリー

ユニバーサルデザインが「すべての人にとって等しく利用可能な状態を目指す」という"考え方"であるのに対し、バリアフリーは「すべての人にとって等しく利用可能な状態にするために、その障害となる要素が取り除かれている」という"状態"を表します。

よって、バリアフリーはその対象となる既存の何かが存在します。0からなにかを作ろうとしたときにいきなりバリアフリーを目指すということはありません。

ノーマライゼーションバリアフリー

この二つはその対象を「人を囲む環境全て」としている点で似ています。つまり、デザインに限らず、社会の仕組みや人々の意識まで含められています。
バリアフリーは、段差をなくすといった物理的な障害の解決を指すと思われがちですが、実際には社会的弱者に対する偏見といった精神的・社会的な障害も含めて取り除くことも目的としています。

アクセシビリティユーザビリティ

この二つはこれまでの3つのワードとは異なり、考え方ではなく"度合い"を指しています。

アクセシビリティは「利用可能な状態へのなりやすさ」を表すので、その度合いは「確保されている・確保されていない」と表現され、対してユーザビリティは「使いやすさ」を表すので、その度合いは「高い・低い」と表現されます。

例えば「アクセシビリティが十分確保されていない」と言った場合、それは「人によっては利用可能な状態に到達できない可能性がある」ことを表しています。ここに使いやすいか否かという観点は入っていません。使う以前の話というわけです。

また「ユーザビリティが低い」と言った場合、それは「利用者にとって使い勝手が悪い」ことを表しています。この表現は利用可能な状態であることが前提となっているので、利用可能な状態になるまでの難度は観点に入っていません。

 まとめ

以上ユニバーサルデザインを含む5つのワードについて書いてきました。こうして改めて書いてみると明確な違いがあることがわかりますね。最後に各ワードの簡単な例文を並べてみます。

ノーマライゼーションを推進する

ユニバーサルデザインを取り入れる

バリアフリー化する

アクセシビリティを確保する、アクセシビリティが悪い

ユーザビリティを高める、ユーザビリティが低い

こんな感じでしょうか。

一通り言葉の整理ができたところで、次回はユニバーサルデザインについて書いてみようと思います。