【コトバ】メンタルモデル

私はD.A.ノーマンの著書の影響もあって、UIを考えるときはメンタルモデル、シグニファイア、フィードバックを特に重視するようにしています。これらは主にUIの使いやすさを担う要素であって、私は勝手にこの3つをUIの三大要素と呼んでいます。

シグニファイアについては以前書いたので、今回はメンタルモデルについて書いていきます。

メンタルモデルとは、頭の中にある地図のこと

あなたが初めての土地に行ったとします。土地勘もない場所なので、念のため地図を用意してきました。駅を出て、目的の場所まで歩こうとしましたが、ここで困ったことが起きます。地図に描かれている道がありません。おかしい。方向を間違ったのだろうか。いや、目印のコンビニは確かにあそこにあった。ということは地図が古い?別の道を探そうとしたら、今度は目印のはずのガソリンスタンドが見当たりません。こうなるともう何を当てにすればいいかわかりません。あなたは見知らぬ土地で一人途方に暮れてしまいます。

想定外なことが起きると、人は混乱します。すぐに別の手段を考える人もいれば、打つ手なく途方に暮れる人もいるでしょうが、想定通りに物事が進めば、それに越したことはありません。

UIでも同じです。想定したものが表示されなかったり、想定外の動きをされると、ユーザは混乱してしまいます。

この想定をメンタルモデルと言います。ユーザはUIを操作する際に「こうしたらこうなるはず」ということを必ず想定し、その通りに操作しようとします。ですのでUIをデザインする時には、そのUIを利用するユーザがどんな想定をしながら操作するか、つまり「どんなメンタルモデルを持って操作するか」を考えながらデザインしていく必要があります。

メンタルモデルを構成する3つのフェーズ

UIをデザインする上でメンタルモデルをどう考慮すればよいか、を説明するために、まずはユーザの行動を3つのフェーズに分けます。それは「予想」「操作」「確認」です。UIを操作するとき、ユーザは「予想」と「操作」と「確認」を何度も繰り返しています。

ユーザはUIを操作する前に、「これはきっとこう操作することでこんな結果が起きるはず」と「予想」します。そしてその予想通りに「操作」をします。操作した結果、それが予想通りであったかを「確認」します。予想と結果にズレがなければ、それは「思った通りに操作ができた」ことになり、つまりは「使いやすいUIである」と言えます。ズレが大きくなるほど、「思った通りに動かない」「何が起きているのかよくわからない」と思われてしまい、「使いにくいUIである」と評価されてしまいます。

使いやすいUIとはすなわち、ユーザの「予想」「操作」「確認」に沿ったデザインがなされたUIであり、つまりは「正しいメンタルモデルに沿ってデザインされたUI」ということになります。

「予想」「操作」「確認」の各フェーズでユーザがどんなことを考えているかを理解することが、UIをデザインする上でとても重要な作業だということがお分かりいただけたでしょうか。メンタルモデルはユーザにとっては「地図」ですが、UIデザイナーにとっては「設計図」であるとも言えます。

さて、ここからさらに「予想」「操作」「確認」のそれぞれについて要点を解説していこうと思うのですが、書きだすとそれなりのボリュームになってしまうので、後日改めて書きたいと思います。