【書き物】ユーザインターフェースとシグニファイア

以前の記事の続きです。

ユーザインターフェースデザインにおけるシグニファイアとは

以前の記事では、アフォーダンスとシグニファイアという言葉について解説しました。今回はいよいよユーザインターフェースデザインにおいてシグニファイアがどう重要なのか、という点について書いていきたいと思います。

以前の記事の最後で、シグニファイアについて「”モノに備わった、ヒトに行って欲しい行為を知覚させる要素”」と書きました。今回はユーザインターフェースの話なので、この「モノ」を「ユーザインターフェースデザイン」、「ヒト」を「ユーザ」と言い換えます。

「"ユーザインターフェースデザインに備わった、ユーザに行って欲しい行為を知覚させる要素"」

例えばユーザインターフェースデザインでよく使われるボタン。ボタンを配置する以上、それは押してもらうことが目的のはずです。そこで、ボタンのデザインにシグニファイアを盛り込みます。具体的には「それがボタンであり、押すという操作が可能であることがわかるデザインにする」ということになります。当たり前すぎますか?でも意外と見落としやすいポイントです。

シグニファイアを見落とすとどうなる?

またボタンを例に取りますが、シグニファイアを見落としたボタンのデザインはだいたい以下のどれかに当てはまります。

  • 他の部品と同じデザインになっていて見分けが付きにくくなっている
  • 背景のデザインに溶け込みすぎてボタンだと気づきにくくなっている
  • ボタンと関連する要素と距離がありすぎるため押すべき対象であると気づかれにくくなっている
どうでしょう。こうして見てみると、むしろ良くあるケースなのだということがわかっていただけると思います。これらは全て、ユーザテストを行えば「押すべきボタンを探してキョロキョロする」というユーザ行動として表れるのですぐにわかります。
操作すべき対象が見つからないというのはユーザにとってストレスです。当然、そのユーザインターフェースのユーザビリティは低くなります。

フラットデザインにご注意

最近流行りのフラットデザインですが、デザインがシンプルが故に先ほどの見落としケースに該当してしまっているのをよく見ます。従来のボタンのデザインでは、少し手前に飛び出したようないかにも押せるようなデザインにすることが多かったのですが、フラットデザインの場合は文字通りフラットなデザインになるので飛び出した感がなく、ボタンなのかラベルなのか区別がつかないデザインになりやすいです。
フラットデザインでもシグニファイアをきちんと盛り込んだデザインにするためには、部品ごとのデザインのルールを明確にすることが大切です。ルールが明確であれば、ユーザはそのルールに沿って部品を見分けることができるので、操作に迷う時間が減りストレスを与えにくいユーザインターフェースにすることができます。